相模原市の障害者施設での殺傷事件への声明

2016年7月26日に起きました相模原市の障害者施設での殺傷事件への声明

(2016年8月25日掲載)

私たち重症心身障害理学療法研究会会員322人は、この痛ましい出来事で被害にあった皆さまのご生涯を偲び、哀悼の意を表すとともに、ご家族さまのお悲しみを拝察し、心からお悔み申し上げます。
そして、この事件を機に、私たちの意思を声明します。
報道によれば、事件の容疑者は、「障害者は不幸をつくる人たちだと思うようになった」と供述しています。
私たちは、この考え方を到底受け入れることはできません。
日々、障害のある彼らへ理学療法サービスを提供する私たちの経験と実感から、この考え方を完全に否定します。
彼らの懸命に生きる力や姿が、多くの人に「幸せ」をもたらしている事実を、私たちは知っています。
障害があるお子さんのご両親が、はじめの絶望の先に見つけた「希望と幸せ」を、私たちは知っています。
彼らは、「信頼し合うこと」がこの社会に「かけがえのない幸せ」をつくることを教えてくれました。
私たちは「この子らを世の光に」(糸賀一雄)という先達が示した哲学を継承します。
私たちは、「最も弱いものをひとりももれなく守る」(全国重症心身障害児(者)を守る会)という理念を継承します。
障害があるから不幸になるのではありません。
障害があるために偏見や憎悪を持たれ、差別や暴力を受けることが不幸なのです。
私たちは、この偏見、憎悪、差別、暴力と戦います。
そして、これからも彼らとともに歩みます。
理解ある社会の皆さまと共に。

私たちは、次の詩を皆様と共有したいと思います。
*米国の母親から相模原事件に関して寄せられた追悼のメッセージに添えられていた詩です。
彼女の息子さん(チャーリー)の介助者(ナテ・ハイジュ)が作った詩です。
歩行できず、発話がない重度重複障害の息子さんが30歳で亡くなった時に、葬儀でも読まれた詩です。

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「友だちのチャーリー」(ナテ・ハイジュ:メリーランド・ジュビリー協会)

チャーリーは私の友だちだ:私はチャーリーの友だちだ
私はチャーリーを助ける:チャーリーは私が学ぶのを助ける
私はチャーリーが学ぶのを助ける:チャーリーは私が成長するのを助ける
私はチャーリーが成長するのを助ける:チャーリーは私が受容するのを助ける
チャーリーの大変さ:それは私の大変さ
チャーリーの弱さ:それは私に尊敬の念をいだかせる
私の尊敬の気持:それはチャーリーから私への信頼となる
チャーリーの信頼の気持:それは私の献身を引き出す
チャーリーはいてくれる:だから私は必要としてほしいと願う
私はチャーリーの秘密を守る:チャーリーは私の秘密を守る
それは二人の協定
チャーリーは自意識の塊じゃない:だから私はイライラしない
チャーリーはいつも刺激をほしがる:だから私は我慢強くなる
チャーリーが嫌な思いをしている:だから私は敏感になる
チャーリーが楽しそうじゃない:それは私の難問
チャーリーの存在:それは私を独りぼっちじゃなくする
チャーリーの忠実さ:それは私を忠実にする
そしてお互いに、ありがたく思う
チャーリーの脆さ:それは私の脆さを受容させてくれる
それは癒しをもたらす
チャーリーの人間らしさ:それは人と人とを結ぶ
チャーリーのぶれないところ:それは私に集中させる
チャーリーのほほ笑み:それは私のご褒美
チャーリーの喜び:それは私をやる気にする
チャーリーの幸せ:それは私に目的をくれる
チャーリーの大変さ:それは私を不安にする
それは私の試練
それは私を鍛える
そして私の信念を強める
導いている時:私は導かれている
助けている時:私は助けられている
教えている時:私は教えられている
チャーリーの笑い:そこには喜びがある
その喜び:そこには活力がある
その活力:そこには魂がある
その魂:そこには神の恵みがある
(長瀬修試訳)

 原文 

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最後までご覧いただき、心から感謝いたします。
会員一同
以上

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